ディランの「はげしい雨が降る(A Hard Rain’s a-Gonna Fall)」。「The Freewheelin’ Bob Dylan」収録のこの曲は、暗喩を含んだ言葉を紡ぎ出して聴く者の想像力を掻き立てるタイプのディランの曲としては最初期のもの(1963年)。
この曲のベストカバー6をFar Outが特集していた。
6. Staple Singers
1968年の「What the World Needs Now Is Love」収録。
ポップ・ステイプルという人はカバーのセンスがとにかく良くて、オリジナルを尊重しながらその時代に必要なメッセージを抜き出して聞かせることに長けている。今公開中の「サマー・オブ・ソウル」では娘のメイヴィス・ステイプルズが ”私たちはゴスペル(神への愛)を歌っているつもりだったのに、パパは後ろでブルース(性欲の愛)を弾いていたのよ(苦笑)” みたいなことを言っていて、それも選曲のセンスに繋がっているのだろう。
5. Leon Russell
1971年の「Leon Russell and the Shelter People」に ”It’s a Hard Rain Gonna Fall” というタイトルで収録。
スワンピーではあるけど結構原曲に忠実なカバー。
4. Joan Baez
1965年の「Farewell Angelina」に収録。
アルバムの最後の曲で7分以上にわたって原曲に忠実にカバー。この時期のジョーン・バエズなのでプロテストフォーク。
3. Laura Marling
イギリスのシンガーソングライターによる2017年のカバー。ただしアルバムのプロモーション用でYouTubeでしか公開していないようだ。
2. Patti Smith
2016年にボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞した際、ディランは授賞式を欠席したので名代(?)として出席したパティ・スミスがこの歌を歌った。
途中で歌詞を忘れたパティが歌い直している。
オリジナルのスピリットを伝えるという意味では最高のカバーだろう。
1. Bryan Ferry
しかしNo.1はブライアン・フェリー。
1973年の1stソロ「These Foolish Things」の冒頭に収録。
個人的にも、もし「はげしい雨が降る」のベストカバーを選ぶとすればこれ。納得のNo.1である。
MVにも戦争シーンがインサートされるが、まさにオリジナルを Re-Make/Re-Modelしてのはげしい雨が降る。
ブライアン・フェリーらしく、オリジナルから重要なメッセージを抜き出しさらに再解釈し再構成する ”カバー” という行為のあるべき姿だと思う。
1973年といえばベトナムから米軍の本体が撤退した年。またロッキー・ホラー・ショーのオリジナル・ロンドン公演があった年。それを意識したのかバックボーカルがTime Warpのシーンを意識したようなスタイルなのも注目である。
また、その後一時期のブライアン・フェリーはライブでもよくこの曲を演奏していて、1977年の日本公園でも演奏している。
同時期のライブ映像がこれ。ギターがクリス・スペディングとフィル・マンザネラ、ベースがジョン・ウェットン、ドラムがポール・トンプソンでキーボードがアン・オデル。
ホーンはメル・コリンズ、クリス・マーサー、マーティン・ドローヴァー。
たぶんパンク以前のイギリスのロックの最良かつ最高で最終的な形がこれだろう。

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