Streamingなどの収益を20世紀に契約したミュージシャンにも支払うことにしたSONY Music

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 アメリカのSONY Music Entertainment(通称SONY Music)では、20世紀にレコード契約を結んだミュージシャンにもストリーミングなどから得られた収益からロイヤルティを支払うことにした。
ミュージシャン側は新たに契約など結ばずともSONY Musicから勝手に小切手が送られてくる。

20世紀のレコード契約にはストリーミングで配信した場合の収益なんて全然考慮されていなかったので、21世紀になって再評価されたようなミュージシャンだと全然その恩恵に預かれないなんてことがある。

それが今回のSONY Musicの方針変更により特に再契約などしなくても収益が支払われるようになる。

SONY Musicは「2000年以前にSMEと契約し2000年以降に支払いを受けていないアーティストおよび権利者」に対して「2021年1月1日までバックデートして支払いを開始する」そうだ。

これはかなり素晴らしい。本来その音楽を作った本当の貢献者にきちんとお金が行くのだから。ビジネス的にSONY Musicが将来の訴訟リスクを避けるために取った処置という解釈もできるが、これによってまた制作意欲が湧いて新しい音が世に出てくることを期待したい。

SONY Musicは2019年から “Real TIme Earnings and Cash Out” という仕組みを導入している。これはその名の通りどのメディアからどの程度収益が上がっているかリアルタイムにアーティストが把握できる仕組みと、そこから金を引き出せる仕組みである。

今回の処置もこれを上手く拡大させたというなのだろう。

また ”Real Time Cash-Out & Advance” という恐ろしい仕組みも導入している。これも読んで字の如く。収益が上がっていなくてもバンス(前借り)が出来る仕組みである。もちろん生活費に使えるわけではなくレコード制作のためのアドバンスである。

過去のミュージシャンには例えば10万ドルをバンスしてレコード制作したけど、レコードの売上が伸びなくてレコード会社に対して借金だけが残ってしまい生活に困窮してしまったなんて人がいっぱいいた。前借りと言えば聞こえがいいが要するにレコード会社に借金したわけだから。

逆にそうした人も今回の処置によって少しづつ借金が減りさらに将来的には支払いを受けることも期待できるわけだ。



なお「SONY Music」の範囲が旧CBS/コロンビア系だけなのか、アリスタやRCAを含むBMG系まで含んでいるのかは今のところよく分からない。

また米国のSONY Music Entertainmentと日本のSONY Music Entertainmentは親会社こそ同じSONYだがまったく別会社。今回の処置が日本のSMEまで及ぶかも不明である。

ともかく他のレコード会社も同じような対応を取って欲しいものである。

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