青山の草月会館ホールで行われた Antony & The Johnsons と大野慶人とのコラボ公演「Antony and The OHNOS 魂の糧」に行ってきました。
一言で圧倒的な体験。これを観逃すと一生後悔するところでした。
実はこの公演(”ライブ”ではなく”公演”と呼びたい)を一時諦めようかというドタバタがあってw
チケットを他のチラシに紛れて一緒に捨てちゃってたんですよ。
午後になってそろそろ出かけようかとチケットを探したら見当たらない。焦って部屋中を探しまわったけど見つからない! どんなに探しても見つからない!
もう諦めるかけたけど、もしかしたらとゴミ袋の中を漁ったらありました。先日部屋を整理した時に不要なチラシ類に紛れ込んじゃったんですね。港区の燃えるゴミは金曜日収集。公演日かゴミの日が1日ズレていたらアウトでした。
ちなみに、もしチケットを紛失したり会場に忘れた場合は、焦らずに主催者にネゴしてみてください。
座席が分かっていたり、領収書など購入を証明するものがあれば入れてもらえる場合もあります。
基本的に今回のライブというか公演はAntony & The Johnsons(以下Antony’s)と大野一雄舞踏研究所のコラボレーション公演。
Antony自身が大野一雄の大ファンであり、大野側も世界観を共有する相手として認めての公演になったようです。
パンフレットによると、アントニー・ハガティと大野一雄の出会いは次のよう。
アントニー16歳 偶然に大野一雄のポスターを見かけ、この美しい生き物はなんだ? と虜になり、ポスターを自室の壁に貼る。それが大野一雄だとは後年になるまで気付かなかった。
アントニー21歳 ペーター・ゼンベルの実験映画「Just Visiting This Planet」を観て登場する大野一雄の姿に涙を流すほど感動する。帰宅してポスターの人物と映画の登場人物が同じであることに愕然とする。そしてニューヨークのモリーン・フレミングの下で舞踏を学び始める。
なるほど、運命的な出会いをした筋金入りのファンのようです。
今回の Antony & The Johnsons はAntony自身によるピアノとボーカル、Rob Mooseのギターとバイオリンという構成。リズムセクションもストリングスも排した最小限の構成。
いつもの耽美系チェンバーロック(それでも音数は最小限だが)をさらにシンプルに音楽のコアとAntonyのボーカルを際立たせる音。
グランドピアノを中央に配し向かって左側にRob Mooseが座る。
後ろにずらずらと並ぶ人々は観客。
なんと、ステージ上にも観客席があるレイアウト!
間近でAntony’sと大野慶人が観られるなんて羨ましい!
その代わり、大野一雄の映像を流すときはスクリーンが下りてしまうのでそれは観れない。一長一短ですね。
また草月ホールは数百人しか入らない小規模なホールだしステージ直前まで客席が並び文字通りのかぶりつき(前から2列目には渋谷陽一もいたらしい)。
ボクの席も2階の最前列中央付近だったが、手を伸ばせばステージに届きそうなくらいで、この距離感の近さも良かった。
観客はロック系のそれとは明らかに異なるアート系が多かった。急遽立ち見の当日券が出たりして前評判も高かったのではないだろうか。12日も50枚限定で当日券が出るらしいので、諦めている人も早めに行けばなんとかなるかもしれない。
公演の内容は三部構成。
まずニューヨークのダンサーでAntony’sのライブにも登場するジョアンナ・コンスタンティンのパフォーマンス。この時点ではスクリーンは下りたまま(つまりステージ上の観客はからは観れない)。
音はニューヨークのミュージシャンであるウィリアム・バシンスキーによるノイズ/ミニマリズムなもの。
いきなり密度の濃い緊張感あるパフォーマンスに圧倒される。
次に大野一雄をフィーチャーした16mmフィルム「O氏の死者の書」(1973年)の上映。
それが終わると白いスクリーンが上がり、Antony’sが登場。
そしてAntony’sと大野慶人との共演が始まる。
このパフォーマンスが始まる瞬間が信じられないほど美しい瞬間だった。
Antonyのピアノとあの声によるボーカルが始まり、舞台に赤いバラを掲げた大野慶人が静かに姿を現す。
そこにRob Mooseの悲しいバイオリンの音が被さり・・・
あまりに美しい姿と音に涙がこぼれそうになってしまった。
その後は被り物を付けてのパフォーマンス、指人形を使ったパフォーマンスなど、圧倒的な音と舞踏の連続。
観ているだけで精神的にくたくた。
全部で2時間弱の公演だったがそれこそあっという間に過ぎてしまった。
音楽ファンにとっても舞踏ファンにとっても堪能出来るとにかく素晴らしい一夜でした。
コメント