7月2日にアメリカで「Summer of Soul (...Or, When the Revolution Could Not Be Televised)」というドキュメンタリー映画が、劇場とHuluで公開される。
これは1969年の6月から8月にかけてハーレムのモリスパーク(今のマーカス・ガーベイ・パーク)で開催された「Harlem Cultural Festival」のドキュメンタリー。
ジャズ、ソウル、ブルースなど錚々たるミュージシャンが出演したのに、フィルムは長らく死蔵されていて、やっと当時のフィルムを使ってドキュメンタリー化されたようである。
副題に”When the Revolution Could Not Be Televised” とあるのは、もちろんギル・スコット・ヘロンの ”The Revolution Will Not Be Televised” をもじっての皮肉である。
1969年の8月にはウッドストックで有名なフェスティバルが開催されているが、こっちの方はハーレムでの開催ということもあって話題にもならず、自分もこれまでこのようなフェスティバルがあったことすら知らなかった。
その映画のオフィシャルティーザーが公開された。
当時のポスターを見ると、ステイプル・シンガーズ、グラディス・ナイト&ピップス、スティーヴィー・ワンダーにデビッド・ラフィンといったソウルのミュージシャンやマヘリア・ジャクソンの名が見える。
他にハービー・マン、ヒュー・マサケラ、レイ・バレットなどジャズの人、それにB.B.キングなどブラックミュージックのアーティストが大挙出演している。
ティーザー映像に見えているスライ&ファミリー・ストーンはポスターに名前がないので急遽出演が決まったのかもしれない。
スライは「Stand」の発売直後。このフェスのすぐ後に今度はウッドストックでの熱演な訳でぜひ見てみたい映像である。
このフェスティバルと似たようなものに1972年にLAで開催された「Wattstax(ワッツスタックス)」があり、ワッツスタックスは映画が日本でも公開されたし知名度も高い。一部では ”Black Woodstock” とも呼ばれたイベントである。
「Summer of Soul」も当初は「Black Woodstock」という仮題だったらしい。
ただそれだとワッツスタックスと紛らわしいし、Woodstockに対してこちらがBlack Woodstockではポリコレ的にも良くないので今のタイトルになったのだろう。
▲これはニーナ・シモンの "Revolution"。アルバム「To Love Somebody」の収録曲だが、アルバム発売直後にこのフェスティバルだったので当時は最新曲。
そしてこの映像はたぶんHarlem Cultural Festival の 1969年8月17日のパフォーマンスである。フェスティバルの映像は死蔵されていたと言われているが完全に忘れられていた訳ではなさそうである。
映画が日本で観られるようになるまではこれで雰囲気を確かめておきたい。
2019年はこのフェスティバルの50周年を記念したイベントが行われたようだが、それすら知らなかった。恥ずかしい。
しかしこうしてドキュメンタリーとなり、サンダンスでも上映されたことでやっとこのフェスティバルの存在が認知された訳だ。
日本での劇場公開はどうなるかわからないが、まずはHuluで観てみることにしたい。