本記事はGoogle AdSenseがクリック課金型(CPC)からインプレッション課金型(CPM)へ移行することになったため、もはや無意味な記事になりました。
本記事を読んで実際に一部広告ネットワークをブロックされた方は、CPM広告への移行前にブロックした広告ネットワークを再び許可(ブロック解除)するようお願いします。
アドセンスのクリック単価が安すぎると感じたら
ずっとブログでGoogleアドセンス(AdSense)を使い収益を得るためのお世話になっているのだが、最近そのAdSenseのCPC単価が低いことに業を煮やし、思い切って大きな設定変更をしてみることにした。
非常に簡単に説明すると、まずそもそも何が問題だったかと言うと、
・CPCが低い
・CPCが低くなる原因はCPM単価で入札してきた広告がクリックされているから
サイト全体で広告をクリックされるのが毎日100回とすると、CPC広告がクリックされるのが50回、CPM広告が50回というイメージ。
ところが、CPC広告が表示される回数はCPM広告の表示広告の5倍くらいある。
全体の表示回数の8割を占めるCPC広告が収益も8割を占めているので、数字的にはおかしくない。しかし、表示回数では全体の2割以下しかないCPM広告がクリック数の半分を占めるというのはなんか腑に落ちない。
・そもそも個々の広告ではなくページRPMが高くなるよう、ユーザが記事やサイトのどこで離脱したくなるか記事の構成を設計し、意図した離脱ポイントで広告をクリックしてもらうようにしているのに、その離脱ポイントでCPM広告をクリックされたのでは、こちらにはインプレッション収益しか残らないではないか。
・2割の表示回数で全体の半分のクリックを得ているCPM広告を、例え単価が低いCPC広告であっても入れ替えることができれば、ページRPMとしては上がるのではないか?
というものである。
とにかくCPM広告が多い日は広告のCPCが一桁円になり、でも1000回表示当たりのインプレッション収益はそこそこということになる。
そしてクリック数が上がっているのに全体の収益はさほど上がらず、なぜだろうと頭を捻ることになる。
そこで
・ならばCPM単価で入札してくる広告をブロックする
という荒療治に出てみた。
CPM単価が100円以上の高単価、そして広告クリック率が数%という高クリック率、でも表示回数はさほど多くない。このような条件を満たす広告はどういうものかというと、そうリターゲティング広告である。
スポンサーリンクCPC単価とCPM単価とは
CPCとかCPMとか用語を書き連ねてしまった。ググってもらえば様々な解説が溢れているはずなので詳細はそちらに譲るとして、簡単に言えばCPC単価は広告をクリックされていくら、CPM単価は1000回表示されていくらという広告である。
ブログなどに貼ったAdSenseのコードが読み込まれると、AdSenseのサーバーに広告をリクエストする。そのリクエストに対して広告を出したい世界中の広告主が入札してきて一番高い価格を提示した広告主が広告を表示する権利を得るという仕組みになっている。
よく ”AdSenseは広告がクリックされると収益になります” と簡単に説明されていることが多いが、実際にはクリックではなくてインプレッションで収益になるCPM広告も多い。
CPC単価が極端に低い原因
CPC単価が低いことに悩んで検索してみると、コンテンツの質が低いから向上させましょうとか無効クリックが多いから気をつけましょうとか、高単価が狙える記事ジャンルにしましょうとか解決にならない回答が並んでいると思う。
実際にCPC広告のCPCを調べると通常言われているAdSenseのCPCとさほど変わらないはずである。しかしCPC広告とCPM広告を合算してCPCを計算してみるとガクっと落ちるはずだ。AdSenseの標準のレポートではCPC広告とCPM広告を合算した数字をCPCとして出してくるので多くの人は自分のCPCは通常よりかなり低い、コロナの影響でCPCがさらに下がったと勘違いしているのだと思う。
また、たまにCPM単価の広告が多いのが原因だけどパブリッシャー側がCPC単価かCPM単価か広告を選別することはできないので諦めるといった惜しい回答もある。CPC広告とCPM広告を選別することはできないけど、CPM広告を大量に入札してくる広告ネットワークは選別できるというのがポイントである。
さて、前述したように、CPC単価が極端に低くなる原因だが、これは広告ネットワークがリターゲティング広告(リタゲ広告)をCPM単価で入札してくるからだと考えている。
リターゲティング(Google用語ではリマーケティング)とは、例えばAというブランドのサイトを訪問するとその後どのサイトに行ってもずっとAの広告が表示され続けるあれである。
リタゲ広告はその性格上、クリック率がとても高い。通常のディスプレイ広告のクリックは0.1〜0.5%くらいだが、リタゲ広告のクリック率はその10倍くらいある。平均で5%くらいということもある。
ただし特定のユーザーにだけ表示させたいので、そうしたユーザが訪問した時には強気な価格で入札してくることが多く、CPC広告と入札で争うことになっても落札する確率が高い。そして、いったん表示されると高いクリック率を活かしクリックを奪っていくのである。しかもCPMでの入札なのでクリックされてもこちらは1円にもならない。
▲AdSenseのレポートに「入札単価タイプ」というレポートがあるので表示してみてほしい。
”クリック単価” がCPC広告、”CPM” がCPM広告である。
おそらく推定収益額と表示回数についてはクリック単価とCPMでは数倍の差でクリック単価が多く、インプレッション収益とクリック数についてはあまり変わらない数字になっていると思う。
スポンサーリンクリタゲ広告を除外して問題はないのか
さて、今回はリタゲ広告をブロックしてみるのだが、リスクがない訳では無い。
まずリタゲ広告は高いCPMで他のCPC広告と落札を争ってきたのである。専門用語で ”オークションプレッシャー” と言うのだが、落札を争う相手がいなくなったことに気づいたCPC広告側はどうするか? もちろん入札価格を引き下げるのである。
また今までリタゲ広告が高額なCPMで落札してきた広告枠が本当にCPC広告で埋められるかという問題もある。
前者についてはCPC広告同士でのプレッシャーもあるだろうから極端に下がることはないだろう。後者については、そもそも良質な広告枠は恒常的に不足しているのでフィルレート(Google用語でカバレッジ)が極端に下がることなないだろう。
要するに多少リスクはあり影響もあるかもしれないが、長期的にはCPC広告が増えクリック数も増えるので増収につながるだろうと考えている。
なお、リタゲ広告は特定のユーザに対して表示させるものなので、PV数が少ないサイトでは表示される回数も少なく収益に対するインパクトはあまり大きくないかもしれない。ある程度のPV数があり、CPM広告で浪費されるクリックが気になるようになったらリタゲ広告を除外する策に出るのが良いと思う。
まずは入札単価タイプのレポートを見て、CPM広告を排除した方が良いか判断してほしい。
誰がリタゲ広告を配信しているのか
リタゲ広告を排除しようとする前に、ではAdSenseを経由して広告を配信してくる数多い広告ネットワークの誰がリタゲ広告を配信しているのか? はい答えは、ほぼ全員です。
ただし、主要なプレイヤーは限られている。
例えばCriteo(クリテオ)。ECサイトのリターゲティングを得意としていてアマゾンや楽天もクライアントである。
よくAdSenseからamazon.co.jp とrakuten.co.jp をブロックすればCPC単価が上がると書かれている記事があるが、それはアマゾンや楽天のディスプレイ広告をブロックしているのではなく、Crieoなどを経由したリタゲ広告をブロックしているのである。
誰をブロックするのか
▲では主要プレイヤーを排除すればよいかというと、まずブログのジャンルや記事内容によって広告配信してくるネットワークの顔ぶれがかなり変わるはずです。
そこでAdSenseのレポートに「広告ネットワーク」というレポートがあるので表示してみてほしい。
広告ネットワークがずらずらと並んでいるはずだが、そのう中から極端にクリック数が多くその割に収益に貢献していないものがあったらそれをブロックすることにする。
今回はクリック全体の半分近くを占めている広告ネットワークとリタゲで有名なネットワーク(ただし表示(=落札)回数はほぼゼロ)をブロックしみてた。
なおCriteoは高単価なCPC広告もあるのでブロックはしていない。
またGoogle AdWordsはAdSenseへの広告供給元でもあるので絶対ブロックしてはならない。
スポンサーリンクブロックする方法
よくCPM広告とCPC広告をパブリッシャー側で選別する方法はないと言われているが、主にリタゲ広告をCPM単価で入札してくる業者をブロックすればほぼ目的は達成できると思う。要するにDMPをブロックすれば良いのである。
▲ブロック方法は簡単。
ブロックしたい広告ネットワークが決まったらAdSenseの管理画面からブランド保護 → コンテンツ → ブロックのコントロール を選ぶ。
そして右下の「広告ネットワーク」をクリックする。
▲表示されたページでブロックしたい広告ネットワークの名前を検索し、目的のネットワークをブロックすれば良い。
ブロック後の効果
ブロック後まだ時間が経っていないので速報値をレポートしておこう。今後は1ヶ月、3ヶ月というスパンで数字を追い本当に効果があったかどうかを検証したいと思う。
ブロックして1週間経過した時点での傾向である。
・サイトにリタゲ広告が表示されることは減っている
・広告の表示回数、フィルレートは変わらず。リタゲ広告の代わりをCPC広告で埋めることができている。
・サイトのクリック率(CTR)は2/3程度に低下した。CPM広告のクリック数は50%程度だったことを鑑みると高CTRだが実質0円のリタゲ広告がなくなり、その分のクリックが順調にディスプレイ広告に流れていると解釈して良いと思う。
・CPC、CPM、ページRPMとも上昇傾向である。
今のところは効果があったと思える数字だが、季節変動や曜日による変動を反映できていないので、もうしばらく様子を見ることにしたい。
スポンサーリンクまとめ
CPM単価で入される広告はCPC広告で埋められなかった枠を収益化してくれる有り難い存在なのだが、リタゲ広告がクリックを奪ってしまって痛し痒し。
そこで今回はリタゲ広告を配信してくる広告ネットワークをブロックするという荒業に出たわけだが、正直本当にこれで良いのか非常に不安である。
たぶんSSPやネット広告代理店に相談してもオークションプレッシャーが下がるし良いことないですと言われると思うが、サイトや記事のどこでクリックしてもらうか、離脱ポイントをどこに置くか設計していたものを台無しにしてしまうリタゲ広告にはちょっと辟易しているのが正直なところである。
このまま運用を続け実際に効果があると判断できたら、CPC改善に有効なのかなどもう少し詳しく解説する記事にしようと思う。
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