R.I.P. Jeff Beck – ジェフ・ベックのレアな映像や音源を70年代中心にまとめてみた

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R.I.P. Jeff Beck

2023年1月10日にジェフ・ベック(Jeff Beck)78歳で亡くなった。

生涯現役、ジェフ・ベックが亡くなるとしたらその前にギターが弾けなくなり、プレイヤーとしては音楽業界から引退してからだろうと何なとなく思っていたので、細菌性髄膜炎という病気による急死とは思いもよらなかった。不死身だと思っていた猪木があのように亡くなり、ギターが弾けるうちは死なないと思っていたベックが亡くなり、70年代のストロング系の方がどんどん居なくなっていく。

ジェフ・ベックのことなのでメディアには追悼記事が溢れているだろうし、死を悼む人もたくさんいるはず。

個人的にはJeff Beck GroupとしてのOrange以降はだいたいリアルタイムで聴いていて、実際思い入れも深いアーティストである。とにかくブラックミュージック好きのギタリストとしては唯一の人だし、絶対バックには回らない一人リードギタリスト、ギタリストには2種類しかいない、ジェフベックとそれ以外とまで称されてフォローのしがいがあるのである。

ソロアルバムやバンドとしてのアルバムや企画モノとしてのアルバムはみんな持っているだろから、60年代から80年代にかけてのジェフ・ベックの公式なアルバム以外、お仕事してのセッションや映画出演そして珍しいアーティストとの共演、ゲスト出演を順不同でまとめてみた。

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映画に残るジェフ・ベック

まずは映画編。

▲スウィンギングロンドンを背景にしたミケランジェロ・アントニオーニの映画「欲望(Blowup)」。

よく知られているように、ジェフ・ベックとジミー・ペイジのツインギター時代のヤードバーズのライブが観られる。演奏している曲は「Train Kept A Rollin’」だが諸般の大人の事情で「Stroll On」というタイトルに変えられている。

ギターをぶっ壊すシーンもあるけど、これはヤラせ。それまでジェフベックはこうしたパフォーマンスをしたことがなかった。

そして何故かギブソン175弾いているのはギターを壊す演出だったから。スティーブ・ハウ(当時トゥモロー)が175のレプリカを撮影用に用意していたのだそうだ。

また、アントニオーニは当初このシーンのバンドをベルベット・アンダーグラウンドに依頼したらしい。ただニューヨークからの旅費がネックになって断念し、ヤードバーズにお鉢が回ってきたらしい。もうちょっと映画に予算があればジェフ・ベックじゃなくてベルベッツ版の「欲望」が見れたわけだ。

▲こちらはシュワルツネッガーとダニー・デヴィートが兄弟という設定のコメディ映画「ツィンズ」。40cmも身長差があるこの2人というキャストを面白く使おうという意図が見え見えなハリウッドB級コメディ映画である。

この映画のバーのシーンでカリフォルニアの歌姫ことニコレッタ・ラーソン(Nicolette Larson)が「I’d Die For This Dance」という曲を歌っている。そしてそのバンドのギタリストがジェフ・ベック。

なんでこの映画にジェフ・ベックが出ているのかよく分からない。が、ちゃんとこれぞジェフ・ベックというソロを弾いている。

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ジェフ・ベックのライブ

続いてライブ編。

▲ジェフ・ベック追悼にはこれが最もふさわしいのではないか。

カーティスの名曲をロッドをボーカルにしてカバーした「Flash」収録の「People Get Ready」。

LA公演の際に飛び入りしたロッド・スチュワートとそれに反応するジェフ・ベック。ロッドがバックステージにいるとは夢にも思っていなかったそうでこの反応だ。

ロッド・スチュワート、ロニー・ウッドそしてジェフ・ベック。半世紀以上前のバンド仲間だし、その分裂の経緯から確執があるのではないかとも思われたが、そんなこともなく今でも音楽仲間なのだという感動的なシーン。それを裏付けるようにジェフの死を知ったロッドは ”we haven’t looked back since.” とツィートしている。

▲ギタリストとして超一流というか地球上で唯一無比の存在でもあったジェフ・ベックだが、ボーカルはどうかというとちゃんと歌える。なにせ「Hi-Ho Silver Lining」というヒット曲もあるくらい。

20年くらい前にプリテンダーズをバックに、ロバート・プラント、ジミー・クリフ、クリッシー・ハインドそしてソロモン・バークらをバックシンガーに従えたパフォーマンスが映像に残っている。

なんか、さぁジェフも歌ってみせてよと煽られる時点で、”ジェフ・ベックのボーカル” 自体が定番ネタなんだろうなと思わされる。でもいわゆる3大ギタリストの中ではジミー・ペイジよりは歌が上手いという評価らしい。

▲ロックの殿堂25周年でのスティーヴィー・ワンダーのパフォーマンスにジェフ・ベックが飛び入りして「迷信(Superstition)」。

スティービーの「トーキング・ブック」収録のヒット曲だが、もともとはジェフ・ベックのために書かれた曲。いろいろあって本人バージョンが先に出てヒットしてしまった。でも最終的にはBB&AもカバーしそのヘビーなグルーブでBB&Aの代表曲にもなっている。

▲「迷信」の他にもう1曲、スティーヴィー・ワンダーがジェフ・ベックに贈ったのが「哀しみの恋人達(Cause We’ve Ended as Lovers)」。「Blow By Blow」に入っているあの曲だ。

オリジナルは1974年のシリータ(Syreeta)の2ndアルバム「Stevie Wonder Presents Syreeta」に収録。作曲スティーヴィー、プロデュースも演奏も何もかもスティーヴィーなんだけど、このレコーディング時点ではこの2人、スティーヴィーとシリータは既に離婚している。それでも甲斐甲斐しく手助けするスティーヴィー・ワンダーが好い人なのか、大人の世界は難しいのかよく分からない。

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▲これは2022年リリースのジョニー・デップとのコラボで今のところの遺作「18」からジョン・レノンの「孤独(Isolation)」をカバー。

「18」自体はほとんどギターインストアルバムみたいなものだが、さすがにジョンのこの曲はしっかりボーカルを聴かせないといけない。

▲1975年にUPPをバックに演奏するBBCの番組で演奏するジェフ・ベック。

UPPはジェフ・ベックがプロデュースしたジャズファンクバンド。「Blow By Blow」のバックを務めたとしてもおかしくないのだが。

実際この曲はUPPの1stに収録されている曲で、時系列的には「Blow By Blow」とUPPのアルバムが同時進行くらいで進んでいたのかもしれない。

さらにこの番組では「Blow by Blow」にも収録されているビートルズの「She’s A Woman」をトーキング・モジュレーターを使って演奏していて(もちろんバックはUPP)、その映像もYouTubeにアップされている。

仕事をするジェフ・ベック

ツアーに明け暮れる人気バンドでもないので、セッションに呼ばれて仕事としてギターを弾くこともあるジェフ・ベック。

▲元イエスのトニー・ケイが居ることで知られるBadger(バジャー)の2ndアルバム「White Lady」にもジェフ・ベックが参加している。

この2ndはニューオーリンズ録音でプロデュースはアラン・トゥーサン、ボーカルにジャッキー・ロマックス(Jackie Lomax)を加えた体制。ジェフ・ベックはこの1曲だけだが、他の曲ではブリン・ハワースとかARSのギターが参加。

要するに当時天下を取っていたブリティッシュ・スワンプ〜ファンキーロック路線のアルバムである。

それだからから、ジェフ・ベックのソロもそっち寄りのフィーリングを出していて、彼にしては珍しいソロギターな感じがする。

▲2022年は「神秘の丘(Running Up That Hill)」がリバイバルヒットして時の人にもなったケイト・ブッシュ。

その彼女の7枚目、長い沈黙前の最後のアルバム「The Red Shoes」のラストの曲「You’re The One」にもジェフ・ベックが参加。

ゲイリー・ブルッカーがキーボードを弾くこの曲の後半で、派手さはないけど印象的な長いソロを聴かせてくれる。

▲1984年にリリースされたティナ・ターナーの商業的な復活作「Private Dancer」。

ここに収録されている「Steel Claw」でのジェフ・ベックが凄い。とにかく凄い。一般大衆が聴くポップアルバムにこんなアヴァンギャルドな音が入っていていいのか?

1分52秒あたりで入るティナの ” Jeff Beck!” という掛け声に続けてのソロギターなんだが、凄いとしか言葉が出ないまさにジェフ・ベックの真骨頂とも言えるソロである。

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友人とブラックミュージックを愛するジェフ・ベック

最後に、やっぱりジェフ・ベックは黒人音楽が好きなんだなぁと感じるギター。

▲「ザ・ビートルズ:Get Back」で登場するや冷え冷えした場の雰囲気を一変させ、改めて男を上げたビリー・プレストン(Billy Preston)の1976年のソロアルバム「Billy Preston」にもジェフ・ベックは参加。

ビリー・プレストンなので、第二期Jeff Beck Groupのようにソウル風ハードロックなギターを弾くのかと思いきや、やっぱりその当時(Wiredのレコーディング直前)のファンクなギターを弾いている。

こういうのって、ビリー・プレストン側は何を期待してジェフ・ベックを呼んだのか、それともジェフ・ベック側から今の自分の音とビリー・プレストンをミックスさせれば面白いと考えてオファーしたのか。なかなか興味深いところである。

 

▲今のところスライの最新作である2011年の「I’m Back!」。

ここではあの「(I Want to Take You) Higher」でジェフ・ベックがギターを弾いている。

それもHigherにピッタリなファンカデリックみたいなソロを延々と。ファンク王道のなりきりファンクギターである。

▲シカゴのジャズ・ミュージシャン、今でいうスピリチュアル・ジャズのエディー・ハリスが1973年にイギリスで録音したセッションアルバム。

呼び寄せたミュージシャンはクリス・スクワイア、アラン・ホワイト、トニー・ケイのYES組、ボズ・バレルにリック・グレッチとスティーブ・ウィンウッド、ズート・マネーにアルバート・リー。そしてジェフ・ベック。あ、ドラムはイアン・ペイス。

たぶんロック畑のミュージシャンを入れて新境地を狙ったのだろう。ところが呼ばれた側もアメリカの本物のジャズ・ミュージシャンと演ることでかなり収穫があった感じ。それはここでのジェフ・ベックのギターからも明らか。まだBlow By Blowの行く前のセッションでこれだから。

▲最後はやっぱりロッド。

1984年の「カモフラージュ(Camouflage)」収録の「Infatuation」。始めっから終わりまでジェフ・ベックのギターが大活躍。

アルバム全体は例によってカバー曲のセンスが良いんだけど、1984年のチープな産業ロック的サウンドがすべてダメにしていて、唯一の救いがジェフ・ベックのギター。

絶対バックには回らないけどいつもエロティックだったりロマンティックだったり時にヴァイオレントなギターを聴かせてくれたジェフ・ベック。

しばらくは残された音源を聴き続ける日が続きそうである。

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