グラミーとアカデミーの両方を受賞したおかげであの映画「サマー・オブ・ソウル」をまた劇場で観られる

Music
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以前も紹介した『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)
”Summer of Soul (…Or, When the Revolution Could Not Be Televised) ”

アカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画、グラミー賞では最優秀ミュージック・フィルム賞を受賞した。

そのおかげで2022年4月15日から一部の劇場で「凱旋上映」として再公開されることになった。ディズニープラスでも配信されているが、やはりこうした映画は劇場の大スクリーン、高品質のサウンドで体験したいものだ。

劇場は立川シネマシティやシネクイントなど。劇場リストは公式サイトに掲載されている。

とっても簡単に説明すると、1969年の6月から8月にかけてハーレムのモリスパーク(今のマーカス・ガーベイ・パーク)で開催された「Harlem Cultural Festival」のドキュメンタリー映画だが、例えばWoodstockの映画のように演奏場面を中心にしたドキュメンタリーではない。

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遺されていたHarlem Cultural Festivalのフィルムを元に、ザ・ルーツのクエストラブ(?uestlove)が編集・監督して映画に仕上げたものである。

当時の出演者、観客へのインタビューも豊富(それはそれで面白い)だし、制作の意図を持った編集も行われていて、これは明らかにBLM運動以降の映画だと分かる。

Woodstockの映画の1/3がインタビューだったらどうかと想像してもられば良いかと。普通に音楽ドキュメンタリー映画を期待していくと退屈な部分が多いかもしれない。

逆に今のBLMの背景とか黒人音楽の流れとその背景に興味や関心がある人には、単なるドキュメンタリーを超えた面白さが感じられると思う。

さて、映画の方だが、まず副題の「When the Revolution Could Not Be Televised」はギル・スコット・ヘロンの名曲 ”The Revolution Will Not Be Televised” のもじりである。まさにブラックミュージックのRevolutionの成果のお披露目の場としてのフェスティバルでもあったが、黒人音楽のフェスティバルなんて視聴率も取れない(金にならない)と思われたかテレビ中継もなく・・。

フェスティバルの模様はスティーヴィー・ワンダーから始まりフィフス・ディメンションの次あたりからゴスペル特集。

ステイプル・シンガーズにマヘリア・ジャクソン、そしてマヘリア・ジャクソンとメイヴィス・ステイプルズの共演で最初のクライマックス。

メイヴィスが ”人生で最高の時間だった” みたいな発言をしているけど、まさにそうだと観ていても分かるくらい。

またキング牧師暗殺の記憶も生々しかった1969年にジェシー・ジャクソンがキング牧師の暗殺時の様子を語る場面も圧巻。会場の人々も映画を見ている自分も声を失くしてしまう。

政治家でいえば当時のニューヨーク市長ジョン・リンゼイも出てくる。この映画ではないがアイク&ティナ・ターナーが出演したイベントでティナを ”わいせつが服着て歩いているようなシンガー” と紹介して大喝采を受けたという、カルチャーを分かっていた政治家である。

それからスライ&ファミリー・ストーンに続いてモンゴ・サンタマリアにレイ・バレットと続くラテン特集。たしかにこの時代のハーレムだったらレイ・バレットが出てきても全然おかしくない。

ソウル、ブルース、ゴスペル、ジャズ、サルサなどが共存して刺激しあっていた良い時代である。

ハービー・マンとソニー・シャーロック、マックス・ローチにヒュー・マセケラといったジャズ勢に続いて最後はニーナ・シモン。

特に ”To Be Young, Gifted, and Black” はこの時、この場所で歌われるべきだった名曲、名パフォーマンス。映画の最後のクライマックスにふさわしい。

▲これはニーナ・シモンの “Nina Simone – Ain’t Got No I’ve Got Life”。
(埋め込みができないのでYouTubeのサイトで見て欲しい)

たぶんHarlem Cultural Festival の 1969年8月17日のパフォーマンスである。フェスティバルの映像は死蔵されていたと言われているが、実は一部は以前に公開されている。単に商売にならないと思われて放置されていたのだろう。

フェスティバル映像の最後の最後はスライの ”Higher”。

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チャンバー・ブラザースの ”Have a Little Faith” をバックにエンドロールになるが、これは最後まで見ること。エンドロールが終わった後にちょっとした漫才を見ることができる。最後に映画の中の演奏曲のリストは次のとおり。(映画での登場順である)

Drum Solo /Stevie Wonder

It’s Your Thing / Stevie Wonder

Uptown / The Chambers Brothers

Why I Sing the Blues / B.B. King

Knock On Wood / Tony Lawrence and The Harlem Festival Jazz Bandic, Inc.

Chain of Fools / Herbie Mann

Give a Damn / The Staple Singers

Don’t Cha Hear Me Callin’ Ya? / The 5th Dimension

Aquarius / The 5th Dimension

Let the Sunshine In / The 5th Dimension

Oh Happy Day / The Edwin Hawkins Singers

Help Me Jesus / The Staple Singers

Heaven Is Mine / Herman Stevens & The Voices of Faith

Wrapped, Tied and Tangled / Clara Walker & The Gospel Redeemers

Lord Search My Heart / Mahalia Jackson

Let Us Break Bread Together / Operation Breadbasket

Precious Lord Take My Hand / Operation Breadbasket featuring Mahalia Jackson and Mavis Staples

My Girl / David Ruffin

I Heard It Through the Grapevine / Gladys Knight & The Pips

Sing a Simple Song / Sly & The Family Stone

Everyday People / Sly & The Family Stone

Watermelon Man / Mongo Santamaria

Abidjan / Ray Barretto

Afro-Blue / Mongo Santamaria

Together / Ray Barretto

It’s Been a Change / The Staple Singers

Shoo-Be-Doo-Be-Doo-Da-Day / Stevie Wonder

Ogun Ogun / The Dinizulu Dancers & Drummers

Cloud Nine / Mongo Santamaria

Hold On, I’m Comin’ / Herbie Mann & Sonny Sharrock

It’s Time / Max Roach

Africa / Abbey Lincoln and Max Roach

Halese Ledi Khanna / Hugh Masekela

Grazing in the Grass / Hugh Masekela

Backlash Blues / Performed by Nina Simone

To Be Young, Gifted, and Black / Nina Simone

Are You Ready? / Nina Simone

Higher / Sly & The Family Stone

Have a Little Faith / The Chambers Brothers

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