レオス・カラックスの新作「Annette」は日本でも絶賛公開中。見逃せない小ネタも多い。

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カンヌで監督賞を受賞した、レオス・カラックスの復活作とも言える待望の新作「Annette」の日本公開が始まった。

初日4月1日には製作も兼ねる渋谷ユーロスペースでレオス・カラックス本人の舞台挨拶まであった。

レオス・カラックス + スパークスとあっては見逃す訳にはいかない。ということでユーロで観てきた。

主演はアダム・ドライバーとマリオン・コティヤール。全編ミュージカルだが音楽はスパークスとあってそこらのミュージカルとは音楽的なレベルが違う。

 

▲これは “So May We Start” という映画の冒頭を飾る曲。ただ映画のストーリーとは関係なくて出演者の顔見せの役割をしているだけである。

またこのビデオはいわゆるNG集。でも映画本編の冒頭もこれとほぼ同じ。マリオンがトチらないだけである。

さて映画の方だが、レオス・カラックスが撮る映画だけにあまりハッピーではない。人間のまさに闇の部分が肥大する話だからだ。

原案がスパークスということで、彼らの過去の名曲・隠れ名曲をモチーフにした設定、演出もある。スパークスの持つ西海岸的なダークな部分をレオス・カラックスがさらに引き伸ばしたような、まさに西欧中心のフランスと西欧文明崖っぷちのカリフォルニアの感覚が合わさったような感触の映画である。舞台はLA郊外のサンタモニカだしね。

レオス・カラックスの映画が好きな人、スパークスの音楽が好きな人には必見の映画だろう。

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またユーロスペースではレオス・カラックスの特集上映も同時に開催されていて、見ると多くの若い観客が押しかけていた。やっぱりあの感覚は老若男女問わずハマる人が多いのだろう。

音楽面でいうと、アン(マリオン・コティヤール)がアネットを抱いて歌う”Lalala” という曲は Propaganda収録の「Thanks But No Thanks」がオリジナル。同じくアンが自分がどこから来たかを歌うシーンは「This Town Ain’t Big Enough For Both Of Us」を膨らませたのかなと想像してしまう。

このようにスパークスを知っているとさらに面白は倍増なので、事前にスパークスの初期作だkでも聴いておくとさらに楽しめるかもしれない。

あと、ヘンリー(アダム・ドライバー)はスタンダップコメディアンという設定なんだけどクレジットによるとビンタされてさらに有名になったクリス・ロックにアドバイスを受けていたらしい。

クレジットといえばクレジットロールが終わってからも映像が続くので、館内の照明が点くまで席に座っていた方が良い。

さらに小ネタだが水原希子や古舘寛治といった日本人俳優も登場する。古舘寛治はちゃんとセリフもあるちょっと重要な役。

他にもちょっとエキセントリックな容姿のアジア系の人を日本人俳優が演じていて、普通は中国系韓国系アメリカ人が演じることが多いのに、カラックスがキャスティングするとこうなるんだね。

ヘンリーとアネットはワールドツアーで世界を回るんだけど、日本については ”Japan” じゃなくて ”Roppongi” と言ってる。やっぱレオス・カラックスにとっては六本木が日本の中心なのか。

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なお、サントラの抜粋版がスパークス名義で「Annette – Cannes Edition (Selections From the Motion Picture Soundtrack)」としてリリースされている。

アダム・ドライバーやマリオン・コティヤールが歌う部分は普通にミュージカル映画のそれだが(それでもスパークス風味は感じられる)、映画の中でスパークスの楽曲として使われる部分は完全にいつものスパークス。さらに映画とは関係ない曲も入っている。

エドガー・ライトの「Sparks Brothers」もAnnetteとほぼ同時期に公開されるし(Annetteの予告上映でSparks Brothersも流れていた)、2022年は久しぶりのスパークスの年なるかもしれない。

 

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