今から45年前、1976年11月25日木曜日の感謝祭の晩に、サンフランシスコのウィンターランドに詰めかけた5,000人の観客の前で9時間に渡って繰り広げられたザ・バンドとゲストたちのライブ演奏。
そのライブから2年後の1978年に、マーティン・スコセッシが監督した映画「ラスト・ワルツ」として公開されているし、当時はLP3枚組のサウンドトラックも同時にリリースされている。
今から振り返るとロビー・ロバートソンのエゴにザ・バンドのメンバーも、僕たち聴いている側も振り回された感があるが、それでもThe Bandという1976年のパンク/NW以前では最高のバンドとヴァン・モリソンたちの映像が残っただけでも良しとしたい。
そもそもジョニ・ミッチェルやヴァン・モリソンの動く映像をしっかり観れたのはこの映画のおかげだったし。
ジョニ・ミッチェルの「Coyote」。
なんと、このコンサートの3日前にリリースされた「逃避行(Hejira)」からの曲。
出たばかりのアルバムからの新曲、しかもアルバムでベースを弾いているのはジャコ・パストリアス。
そんな曲をいきなりこのライブで披露されると、ベースを弾くリック・ダンコは気が気ではなかっただろう。
ヴァン・モリソンの「Caravan」
とにかく熱演。ロックとかソウルとかの枠を超え音楽というものを具現化し物質化したものがこれ。20世紀の音楽の究極の形態ですね。
これはコンサート映像ではない「The Last Waltz Suite」でのステイプル・シンガーズとザ・バンドの共演。これも音楽とはなんぞやという問いに対する答えの一つ。
メイヴィス・ステイプル、ポップス・ステイプルがボーカルを取ったのに続けて、さぁ俺の番だと出てくるリック・ダンコの勇姿。
最後にリック・ダンコのもう一つの見せ場を。
「It Makes No Difference(同じことさ)」
もちろんザ・バンドのメインボーカリストはリチャード・マニュアルだったが、この頃はそれどころではなくリック・ダンコの歌う場面が多い。それにしても歌っている方も聴いている方も泣きたくなるくらいの熱唱である。
他にもクラプトンやドクター・ジョンにボビー・チャールズそれにニール・ヤングといった豪華ゲストも聴き応えがあるし、こんな映画でもなければ姿を見ることができなかったであろうロニー・ホーキンスの姿も見られる。
そしてなによりボブ・ディラン。
こんな45年前のコンサートだが出演者のほとんどがまだ存命というのも逆に凄い。80年代以降健康的になったロック界や世界の高齢化を象徴しているようだ。
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