今日が初日だったのでとりあえず森美術館の方へ。
東南アジア10カ国、1980年代以降だからせいぜい30年くらいかと甘く見てたら、この30年は冷戦終結に伴う緊張緩和と民主化、グローバル化による急激な経済成長、それに伴う社会の矛盾、不条理の顕在化などなど、社会が大きく変動する時代だったから、アートもそれだけ先鋭化していた訳で、とんでもなく密度の濃い表現がこれでもかと出てきていたんですね。
1時間半ほど居たんだけどもっとゆっくり見ることもできたし、それにそもそもこれで半分以下だぜ、新美術館の方はもっと多いだろうし。
とにかく新しい発見もありモダンで土着な表現も楽しめたし、これは行く価値のある美術展です。
まずこういうポジティブなメッセージから。

これは耳の壁(と耳の拡大)
他者の言葉を聞き尊重しようというメッセージですね。
丸い池ばかりの写真。
池のようだけど実はベトナム戦争当時に米軍がカンボジアに落とした爆弾の跡・・・
前述のように、激動の時代であり、人々の意識もどんどん変化しているので、アートも社会的、政治的にならざるを得ないんでしょう。
心温まるインスタレーションもあり、
暗い部屋に飾られる幸せそうな大家族の肖像画。
反対側の壁のスクリーンにも映像が映し出されピアノの演奏が始まると・・・
肖像画の下におばあちゃんが写し出されという手法。これは良かった。
DENONのレコードプレイヤーとピンク・フロイドのDark Side Of The Moon(狂気)のLPレコードからなるインスタレーション。
こういうのがあると気になって仕方ないですね(笑
レーベル面を読み取ると PFRLP8 というカタログ番号が。ささっとググってみたら、これは2016年に米国でリリースされたリマスター180g重量盤でした。
なーんだ、最近のLPじゃんか。
でもその割にジャケットがくたびれた感じなので背中にある SMAS-11163 を同じようにググってみたら、1973年の米国オリジナルリリースのものでした。
中身は最新だけどジャケットはオリジナルか!
まぁ当時アメリカだけで百万枚以上売れたわけだから沢山残っているのは分かるとしても、流れ流れて東南アジアへ渡って作者の手許に届いたんですかね。ロマンのある話です。