サイゴンのソヴィエトキッチュなプロパガンダポスターたち

先週は仕事でベトナムのホーチミン市(HCMC)に行ってきた。
一週間の予定だったが、月曜日の朝に着く便はチケット代が高騰するので、日曜日の朝に到着する安い便を選んでいる。こうした方が一泊余計にしてもトータルでは安い。

なにせ朝6時前に着いてしまうのでアーリーチェックインすらも早すぎ。いったんホテルに荷物を置いて朝の観光という時間つぶしに出かけた。


ホテルに向かうタクシーの中から見かけてから気になっていた大看板。
レーニンの看板なんてさすが社会主義国は違うなぁと思っていたが、近くでよく見るとロシア革命(十月革命)100周年記念ということらしい。

この看板のイラストはボリショイ劇場前で演説するレーニンの写真を基にしたものだろう。
この演説台の下にはトロッキーがいるのだが、その後のソ連の歴史ではトロッキーは居なかったことになっていて写真もそのように修正されたらしい・・・という説で有名な絵面。

これはまた別の場所に掲出されたいたポスター。
こちらもレーニンとクレムリンを使った十月革命100周年。
ホーチミン市は旧名がサイゴン。まぁ南ベトナムの首都であり米軍が駐留していたし、資本主義と腐敗と不正の巣窟で享楽的な街みたいなイメージだが、実際今もハノイと比べると社会主義の国的な雰囲気はあまり感じられない。




さっきの黄色いレーニンのポスターはノートルダム教会の近くの壁にずらっと掲出されていたのだが、そのポスターがどいつもこいつも社会主義的、ソ連的なプロパガンダ絵画ばかりで興味深い。

芸術はアヴァンギャルドとキッチュに向かうという話があり、これらはそのキッチュ路線に行った典型である。
ロシア・アヴァンギャルドはその裏表として旧ソ連のプロパガンダポスターがあるのだが、ベトナムのアヴァンギャルドはまだまだ非常に少ない。

このホーチミンおじさんとそれに感謝しているらしい健気な小学生の絵の表情、そのポーズ。いかにもプロパガンダポスターらしいが、それが21世紀の今でも使われていることにある意味びっくり。
こんなの北朝鮮くらいにしか残っていないのかと思っていたが。

顔の造形や色使いから、もしかしたら大嫌いな中国のそれをコピーしてきたのかもしれない。

これはどうも文化系、音舞楽曲系。
ベトナム語がまったくわからないのが悔しい。

これは分かりやすい。
発展する街並み、平和のシンボルである白鳩。
国の成長と平和を見守ってくれるのは頼もしい兵隊さんたちですね。
この緑の制服の国家公務員に最初に出会うのは空港の入管だが、さすが社会主義国の国家公務員は違いますねと嫌味を言いたくなる仕事ぶりである。

あとこのポスターが貼られている場所の近くには郵便局もあるのだが、誰も来ない窓口にずっと座って何もしていない係員たちも、あれもきっと社会主義国の国家公務員。
きっと、計画に沿った数の郵便を出さない一般国民が悪いと考えながら座っているのだろう。



これはいろんな職業の人のおかげです、みたいなポスターかなと推測。
下段真ん中のお兄さんと上の兵隊さんの顔が同じなので作者が同じなのかもしれない。




これもホーチミンを讃えているであろうポスター。
もしかしたら腕を上げる角度もきちんと定められているのかもしれない。

ちなみにシンプルなイラストに対してヒマワリは実写。要するにコラージュ作品である。


こちらのカップルの男性の腕の角度もさっきとほぼ同じ。
やはり法律で腕の角度が決まっているのかもしれない。
(単にイラストを反転させて使い回しているという説もある)

これはベトナム共産党の92周年?
ホーチミンと赤色からの推測だがたぶん間違ってないと思う。

これは明るい家庭はホーチミンのおかげですみたいなプロパガンダだと思われる。
日本で行ったら銀座のど真ん中みたいな場所にもこうしたプロパガンダがでっかく掲げられている。
これは顔の造形などベトナム人と分かるので、ベトナムオリジナルポスターだと思う。

これも明らからにベトナム人。
見張っている先はもちろん南シナ海である。
中国からのコピー物はさすがに使えない。


なんか良くわからない武器を持った兵隊さんや戦車など。
でもポイントは右上のホーチミンの横顔かな。
外国の敵と戦った歴史・・・つまりこれも南シナ海を意識しているのではないかと。


個人的にはかなりお気に入りの構図。

手前はクレムリンとレーニンの十月革命100周年モノ。
向こうに見えるのは旧南ベトナムの大統領府。
その対比がうまく撮れたなと。


その旧南ベトナムの大統領府全景。
この日は修学旅行(?)の生徒・学生たちが列をなしていた。

1975年に北ベトナム軍が戦車でここにやってきて南ベトナム政府が降伏。ベトナム戦争終結の場所である。

アメリカ人観光客が集まる場所でもある。

アメリカ人観光客とはいえば、サイゴンの国際空港であるタンソンニャット国際空港の入管、毎回数十分単位で並ばされて閉口している。
ASEANの列か日本人が多い列に並べば比較的早く進むように感じるので次回からそうしたい。

今回はアメリカ人が多く並んでいる列を選択してみた。まぁ世界中どこでもアメリカ人と日本人は比較的あっさり入管を通過できるという経験則だったのだが、ベトナムだけは違った。
列が進んでから気が付いたのだが、アメリカ人はビザがないと観光であっても入国できない!
まぁ歴史的経緯を考えると当然だが。
従って一人ひとりの審査にいちいち時間がかかっている。

次回からはアメリカ人が少ない列というのも条件に加えて並んでみたい。




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