UNCUT のベストアルバム2009は Tinariwen



英UNCUT誌が選出するベストアルバム2009はティナリウェンの「イミディワン アフリカの仲間たち」
(Tinariwen - Imidiwan: Companions)

候補作のリストを見た段階では本命 Wilco、対抗 Grizzly Bear かと思っていたのでその意味では意外だが、逆にTinariwenをベストするUncutもさすがだと思う。

実際このTinariwenの4枚目Imidiwanは、個人的には今年後半の愛聴盤だし、英国プレスの評判も高かった。

日本の音楽雑誌などは読まないので良く知らないが、日本国内でのTinariwenの知名度はどの程度なんだろう。たしか来日はしたことがあるハズだが、ちゃんとした日本ツアーは行っていないから、もしかしたら人気も知名度もその程度なのかもしれない。

ということで、まず、このTinariwenはアフリカはマリ共和国のバンドで、サハラ砂漠の遊牧民トゥアレグ族がそのメンバーである。
トゥアレグ族はマリ内戦の一方の当事者であり、最近ではマリ政府との和解をすると同時に対テロ(アルカイダ)戦争に協力、つまり代理戦争を担うことを表明していたりと、アフリカの政治情勢を左右する民族でもある。その辺りの事情を気になる人は調べて欲しいが、要するにこうした政治情勢がもろに反映された音である。
(また、フォルクスワーゲンのSUVトゥアレグは彼らトゥアレグ族からいただいている)

そうしたことから、「現在最も政治的なバンド」とか「最後のレベルミュージック」などとも呼ばれている。
音の方は「サハラのデルタ・ブルース」。いや、本当にこの一言で全てを表しているように思う。
アフリカの音楽はロック黎明時からアフロ・ロックという名称で在英アフリカ人バンドが活躍したり、アフリカ人ミュージシャンをメンバーに迎えたバンドがいたし、その後も”ワールドミュージック”とカテゴライズされて多くの音が紹介されてきた。中にはフェラ・クティのように大きな人気を得て影響を与えた人もいた。

そんな中でもこにTinariwenは、本当に突然、サハラ砂漠のど真ん中から、エレクトリックでモダンでアフリカンな音を鳴らしながら出てきた突然変異的バンドという印象が強い。が、よく聴けば、その音も歌詞も必然的にこうなったのだろうということが判る。
世界の辺境から出てきたバンドの極めてパーソナルで土着な音楽が、そのまま今の世界で普遍的な音楽になっていることもかつてのレゲの登場を思わせる。

前作ではロバート・プラントのギタリストであるJustin Adamsがプロデューサーだったが今回はセルフプロデュース。
そして音は基本的にはブルース色(というか歴史的にみればこっちが本家)が強く、緊張感たっぷり音、哀愁のメロディ、そこはかとなく香るアフリカン。
たぶん、ロックファンでも普通に聴けてしまうし、ワールドミュージックな人にもぴったりな音。
21世紀の一方のトレンドはこうした音になるのだろうと感じさせる音楽である。

最後にこれまでのアルバムを振り返ると、
2001年 The Radio Tisdas Sessions
2004年 Amassakoul
2007年 Aman Iman: Water Is Life
2009年 Imidiwan: Companions
と21世紀になってコンスタントにアルバムを出している。
どれもとても良い内容なので、Imidiwanが気に入ったら遡って聴いて欲しい。
最後にImidiwan収録の”Lulla" のPVを貼っておく。

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