ZIGZAG 伝統革新 未来を走るイタリア展


お台場の日本科学未来館で10月17日まで開催されている「ZIGZAG 伝統革新 未来を走るイタリア展」を見学してきました。

イタリアの、こうした展示会というか見本会みたいなのはこれまでにも何度か見学したことがあり、毎度感心することしきりだったんで、今回もゆっくり見ようと平日に時間を作って行ってきました。

なお、入場は無料。
未来館自体は入館料が必要ですが、このZIGZAGだけを観るのであればお金は必要ありません。

また、未来館の休館日は火曜日。
閉館は17時ですが、16時30分以降は入館できません。早めに言った方が良いでしょう。



イタリアの工業製品といえばまず自動車。

これは最新のマセラッティ・グランツゥーリスモ。

70年代のアメリカではフェラーリよりステイタスが高かったのか!? というネタは少し前に書いたなw

ひところのイタ車は、デザインとコンセプトは良いんだけど製造品質が・・・が決まり文句でしたが、少なくとも90年代後半以降のイタリア車はエントリーカーからスーパースポーツまで、高いレベルでまとまっていてイタ車ファンとして喜ばしい限り。
初めて買う輸入車がイタリア車という人にも自信を持って勧められるクルマばかりです。



これはジウジアーロのコンセプトカー。

エンジンはハイブリッド。
電気はソーラーパネルによる自給自足タイプ。

高価なクルマなのでパワーもそれに見合ったものを。というユーザにはハイブリッドはいいかもしれないですね。

ちなみにシートはマトラやマクラーレンF1などと同じ横3人掛け。
モノの本によると、この場合の正しい座り方は、真ん中に運転者、左側に奥さん、右側に愛人だそうです。


こっちは電気自動車の開発プロト。

別にどうってことないピープルムーバーなんですが、ちゃんとBピラーが残っているのがエラいなぁと。
やはり自動車王国だけあって、何が本当に必要なのか判ってらっしゃる。

極東の自動車王国でこうしたピープルムーバーを作らせると、ユーザーの利便性がとか言ってBピラーを取っ払いがちですが、そんな応力的にアンバランスなことは微塵も考えないところが、イタリア人。走りや安全性に影響が出るくらいなら多少の不便は我慢しろよと。こういうところ、伝統あっての革新なのでしょう。


そんな伝統と革新のイタリアを判りやすくしたのがこのビザリーニ。

往年の名レーシングカーなのですが、これはそのレプリカ。
パワーユニットはハイブリッド。
その名も「エコ・タルガ・フローリオ」

もうねぇ、作っている人たちが楽しんで作っているんだろうと。
ハイブリッドシステムを搭載するとか、それでエコを世間にアピールしようとかいう目的はすっかり忘れて、いかに再現するかの方に力が入っちゃっているようです。
たぶん、走行実験の時も、ハイブリッドシステムの経済性評価とかは忘れちゃって、コーナリング性能とか走行性能ばかり一生懸命実験しているような気もします。


左側は電動車いす。右側はエココミューター。
ポイントは「トリノ市商工会議所とトリノ工科大学との共同開発」

もう完全に市街地からは内燃機関を持つ自動車は追い出そう、市街地の移動手段は公共交通機関とこうしたパーソナルな移動手段で済ませてしまおうということなんでしょうね。
しかも交通弱者である障害者のことも同時に開発しちゃおうと。

コンセプト、民学協同の開発、どちらも素晴しい。
日本でもこういう取り組みがどんどん始まって欲しいです。

今までだと、通産省が音頭を取って三大メーカーに補助金出して開発して、東大の先生がお墨付きを与えて、北海道でも沖縄でも使えるように化け物みたいな仕様を策定して、とんでもない価格のコミューターが出来て、普及のために財団法人ができて、補助金付けて地方にバラ撒くけど結局どこも使ってない... という構図になるんだけど、これからはそうはならないよね??


イタリアは自動車だけでなくバイクも伝統芸。

右はドカ、左はMVアグスタ。








これは上の写真にも写っているアグスタ。
F4ベースのスペシャルモデル。

レザーや真珠貝を使ったエクステリア。

ボクはバイクは乗らないけど、でもこれはスゴい。
まさに走る工芸品。
しばらく見とれてしまいました。




タイヤが付いているものが得意なイタリア。

これはコルナゴ。Colnago for Ferrari。

フルカーボンバイク。








デ・ローザのロードバイク。

このくらいなら自分で所有しても良いかなとも思う。








クルマのバックミラー。

今では世界中のどんなメーカーもバックミラーなど細部まできっちりデザインするようになりましたが、以前はそんなところまでデザインするのはイタリア人とフランス人しかいなかったような。

今でも無駄にデザインに凝っているところは変わりませんね。
もう格好良く作るならイタリア人に任せておけっ!



これは産業用自動車(耕耘機とかトラクターとか)のトランスミッション。

こんなもんまでデザインしなくても。

でも、そんな風に感じるのはアングロサクソンやアジアの連中だけで、扱いやすく丈夫で機能を満たそうとすれば必然的に美しくなるのだと言い返されそうです。





ここから先は航空宇宙産業。ハイテク技術編です。

米国空軍のC27J スパルタン。

小型で運用性も高く、地域紛争などで活躍する現役バリバリの軍用輸送機です。

イタリアの軍用機というと昔からジョークのネタが尽きない迷作ばかりですが、これはそうした汚名を一気に晴らした傑作機。





これは欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機。

自走式の、いわばマーズ・ローバー。

意外と小さいけど、火星のように重力が小さいところでは充分なのかもしれません。

タイヤは付いてないけど、動きモノならやはりイタリアというのはヨーロッパでも共通認識なのかもしれません。



これは欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査計画「ロゼッタ」で使われる彗星着陸機。

計画では2014年にこれで彗星に着陸する予定。

日本の「はやぶさ」は小惑星「いとかわ」に着陸し、そこで採取したサンプルを持って絶賛帰還中ですが、これは着陸するだけ。
小惑星はある程度軌道が安定していますが、彗星は動きモノですから追跡、着陸はかなり野心的な計画です。

やはり動きモノですからイタリアは得意技・・・ということでもないかw


これは欧州宇宙機関(ESA)の低軌道投入用ロケット「ヴェガ」

これに関してはほぼイタリアのロケットですね。
ただそのせいか計画が遅れに遅れ、未だに上がってませんが。

しかし、ロケットというのは精子のような形とも言えるし、男根を模しているとも言えるし、まさに人類の種が宇宙に出ていくことを暗示しているかのようで、サイエンス心をいたく刺激します。

このようにヨーロッパでも有数の歴史と伝統を誇り、ルネッサンス発祥の地でありながら、未だに人類の未来の一翼を担っているイタリアの、先端の部分を垣間見れる展示会です。
展示数は多くないものの、一つ一つの展示品が見所満載。でも1時間あれば見れちゃうので、近所にお寄りの際はぜひどうぞ。

下の写真は未来派宣言で有名なウンベルト・ボッチョーニの作品「空間における連続性の唯一の形態」のレプリカとそれを使ったインスタレーション。最後にこれを見て、展示内容全てに合点がいったような気がします。

このエントリーをはてなブックマークに追加