Cadillac Records

話題(?)の映画「キャデラック・レコード(Cadillac Records)」を観てきました。

チェスレーベルの黎明期からその終焉までを、チェス兄弟とマディ・ウォーターズやココ・テイラーなどスター達のRise and Fallを織り交ぜ得て描く人間音楽映画!
と期待していたのだけど拍子抜け。

簡単に言うと「よく出来た再現ドラマ」
ワイドショーなんかで安い俳優使って流している再現シーンを、ちゃんとしたスタッフがお金をかけて作ったと思えばよいかと。

アラン・ロマックスによるマディの発見
リトル・ウォルターによるアンプリファイド奏法の発明
マディと漢なウルフの確執
ストーンズの荷物を運ぶマディ
喧嘩が原因で死ぬリトル・ウォルター
チャック・ベリーの懲りない性癖
等々
ブルース、音楽ファンなら一度は読んだり聞いた事があるシーンがいくつも再現されてます。

この映画はそうしたエピソードの積み重ねで出来ているのだけど、時系列的にはかなりデタラメ(笑
さらにフィル・チェスはほとんで出てこない、ウィリー・ディクソンが語り部役なのにココ・テイラーは出ないなど登場人物もかなり端折ってあるのでドキュメンタリー的に見ると困ったことになってしまいますね。
ボクはチェスの創成期と聞いて、先日亡くなったココ・テイラーをビヨンセが演じるのかイメージ違うなぁと勘違いしてまして映画を観る前に景気づけに聴いていたのはココ・テイラーの"Don't Mess With The Messer"などのジャンプナンバーなど... しかし映画に出てきたビヨンセが演じてたのはエタ・ジェイムズでした(笑
まぁこれは勘違いする方が悪い。ポスターのビヨンセをみればココであるハズがないのに何故気がつかないかと(笑

そういえば、チャック・ベリーが従兄弟のマービンから「ジョニー・B・グッド」を電話で聞かされるシーンもなかったね。
マーチン・フライが弾く「ジョニー・B・グッド」を従兄弟のマービンが電話越しに聴かせてくれたのがきっかけでチャックがロックンロールを発明したのが歴史的事実じゃないんでしょうか(笑

まぁとにかく、エピソードは積み重なるもストーリーとして機能していないので、知っている人には再現ドラマにしかみえないし、知らない人にはどうなんでしょう?
チェスレーベルとそこに所属したミュージシャンが残した功績は計り知れないものがあるんだけど、それがちゃんと伝わるのかな、心配です。

ボクたちはマディやウルフやチャックの子供たちなんだということは充分伝わっては来たけど、最近のブラックミュージックを聴いている人たちにそれが伝わったかどうか...
なんでシングルが3000枚売れた程度でキャデラックが買えちゃうのか、家が買えちゃうのか。彼らの音楽を誰が聴いててどう受けていたのか、なんというかストーリーは一本調子だし、細部は端折られるし、とにかく知らない人にリアリティを持って伝えている映画なのかとても心配。
その代わり、知っている人は最初に書いたように「良くできた再現ドラマ」と思って観れば満足すること請け合い。

特にラストでビヨンセが "I'd Rather Go Blind" を熱唱するシーンは必見。そうか、この曲をこう使うか。
ビヨンセにしても一世一代の名唱。これを観るだけでも1000円くらいの価値はあります。

しかし、たった50年の間でアメリカ黒人の肌の色って薄くなっているじゃないの?
マイケル効果なのか美白が流行っているのかそれとも混血が進んでいるのか、今と比べると昔のブラックミュージシャンは見かけも黒かったように思います。
モス・デフ(チャック)にしろジェフリー・ライト(マディ)にしろ、シャネルズみたいに靴墨を塗って出てくるんだもの(笑
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