Dusty In Memphis



Dusty Springfieldが1969年にAtlanticに移籍し、メンフィスでレコーディングした盤。この「デラックス版」は、オリジナル盤に未発表曲など14曲が追加されています。

 Dusty は1939年英国生まれ。世代的にはジョン・レノんなんかと同じですが、幼い頃からショービズ界にデビューした、一般的には「芸能界」の歌手とされている人です。ロック業界では10年ほど前にペット・ショップ・ボーイズに引っ張りだされてカムバックしたことが知られているかもしれません。当時は、オカマ系にも人気があるPSBがオカマ好みの年増歌手を引っ張り出した程度の認識でいたのですが、そうじゃないちゃんとしたリスペクトの上での共演だったことが、この盤を聴いて判りました。

 オリジナル盤はメンフィスのアメリカン・スタジオでジェリー・ウェクスラー、トム・ダウド、アリフ・マーディンをプロデューサーに、レジー・ヤングなどメンフィスのミュージシャンがバックを努めています。ですので、音はもう当時のアトランティックのソウル/R&Bそのまんま。アリサ・フランクリンが歌っていてもおかしくないような音が出ています。
 今回のデラックス版は、そこにNY録音の11曲と、ギャンル=ハフによるシグマ・サウンド録音(!)2曲が追加されいます。

 この盤が出るまでDusty Springfieldなんて聴いたこともなかったのですが、これは凄いです。唄上手いし、迫力もあるし。当時の白人女性シンガーがソウルした中で、これは白眉ではないでしょうか。年増の若作り風カマトトな歌い方からゴスペルフィーリング丸出しまで、何でもこなしています。う〜んまいった、ホントに。

 これ聴くと、本物の歌手ってのは、バックの音とか曲とか、そんなもの関係無しに人を感動させることができるのだと実感できます。エディット・ピアフは「電話帳を歌っても人は感動するだろう」と評されたそうですが、それもさもありなんと思います。
 1969年、日本では美空ひばりがミニ・スカートに身を包んでGS歌謡曲を歌っていた頃かな(今や想像もできないけど)。美空ひばりや雪村いづみのメンフィス録音なんてのも聴いてみたかったなぁ。当時の日本にそれだけの戦略的プランを持ってかつグローバルに音楽的動向を把握できているプロデューサーがいれば、実現できていたかもしれないのにな、残念だけど。
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